ときには車を降りて。001 賤ヶ岳トンネルで

あんまり知られてないんやけどな、桜の名所があるんや。
話はそんなふうに始まりました。

 

ここは木之本。
湖岸道路と国道8号線が合流したところにそびえる賤ヶ岳。
戦国時代、羽柴(のちの豊臣)秀吉と柴田勝家が天下争いをした地として知られる山です。
賤ヶ岳を右手に、西浅井町の方へ向かう道には賤ヶ岳トンネルがあります。
実は賤ヶ岳トンネルは、新旧ふたつあり、現在8号線が通っているのが新しいトンネルです。
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トンネル入り口すぐ手前、右手へ入り、さらに左折すると、賤ヶ岳登山口と旧トンネルの分岐点がある

 

 

登山口の方ではなく、曲がりくねった道を進んでいくとトンネルが見えてきます。
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トンネルではなく隧道。入り口には銘文もあり、その歴史をすこしたどることも

 

 

ほの暗いあかりがごつごつした壁面が照らしだす内部を走ること約数百メートル。
抜け出るやいなや、かの小説の始まりのようなつぶやきをもらしてしまいそうな景色が広がります。

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トンネルを抜けるとそこはTHE 奥琵琶湖だった!

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湖岸の稜線もくっきり。長浜市木之本町山梨子の集落の南に位置するあたり

 

 

さて冒頭の話。旧のトンネルを西浅井側へ抜けた道沿いには桜が植わっていて、春はちょっとした隠れ花見スポットだったのでした。

久々に旧のトンネルを訪れたのは梅雨の合間の、緑がとても近く感じられる日。
ちょうど付近で山仕事していた方に声をかけたところ
「10月ごろの風のない日の夕方は、月出のへんが真っ赤になってな。すごいで」
月出というのは、長浜市西浅井町の月出集落のことです。
「けどな、毎日来てな、そんな風景にはお目にかかれんで」
だそうです。
桜の季節だけではもったいない。

 

西浅井側の出口そばには、湧き水が出るらしき設備があるのですが、水は出ていません。
「たくさん雨が降ったら出てくるわ。勢いよく水が出ているときは飲んでもいいけど、少ししか出てないときはやめとき」
さきほどの山おじさんが教えてくれました。
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西浅井側に出たのだから、もう少し北上してドライブを楽しんでもいいのですが、
ここでもう一度、新しい方の賤ヶ岳トンネルの木之本側へ戻ります。
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写真左側、トンネルに沿うように通路が

 

実はこの新しい賤ヶ岳トンネルは、入り口上部を歩いて渡れるのです。
交通量の多い国道8号ゆえ、近くの小学校の通学路として使われています。
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トンネルを上から見下ろす

 

トンネルの暗さにおじけづきながら。琵琶湖に浮かぶ竹生島との距離を考えながら。探検ごっこの気分でトンネルの上を歩きながら。それぞれがちょっとづつ楽しい。ちょっとづつを積み上げて毎日のくらしができあがっていきます。